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No.83電動歯ブラシを勧める歯科医は少数派
電動歯ブラシを勧める歯科医は少数派
結論から言うと、電動歯ブラシを勧める歯科医は少ないと思います。だからと言って、電動を否定しているわけではありません。
電動歯ブラシは大きくわけて、振動回転式歯ブラシ、音波ブラシ、超音波歯ブラシの3種類に分類されます。
振動回転歯ブラシでよく知られているのはブラウン社オーラルBです。Braun OralBは小さなカップ型ブラシで歯を1本1本磨くように設計されていると思います。
音波歯ブラシでよく知られているのはフィリップ社ソニッケアーです。
音波を発生させて歯垢を除去します。
毎分3万〜5万回ほど振動するとされています。
Philip Sonicareは毛先が直接歯にあたりブラシヘッドの振動で汚れを落とすだけでなく、音波の振動による高速水流や発生する細かい気泡が毛先の当たっていない2〜3ミリ離れた周囲の歯垢も落とすとされています。
パナソニック社もドルツ Panasonic Doltzを販売しています。
超音波歯ブラシは160万Hzで振動し、歯垢を落とすだけではなく、バイオフィルムを破壊し細菌同士の連鎖を切ることで歯垢が付きにくくしたり、歯垢を剥がしやすくするという効果があるとされています。
電動歯ブラシは機械が一方的に歯を磨いてくれますが、間違った使用法をすると、歯を極度にすり減らしたり、知覚過敏のような症状がでたりします。
歯に痛みを感じると、磨くのが足りないと勘違いして、さらに強く、長い時間歯ブラシしたりして、どんどん痛みが強くなることがあります。
歯ブラシを歯に強く押し付けないよう気をつけたり、時間を短くしたり、研磨剤が入っていない歯磨きペーストに変えたりする必要があります。
歯科医院で電動歯ブラシを勧めることは少ないと思います。いろいろな患者さんに接していますと、どうしても歯ブラシが苦手なかたに出会うことがあります。その場合、電動歯ブラシの利用もよいと思います。
ここで簡単な実験を紹介します。
超音波歯ブラシを想定した実験です。
写真1は歯周病で抜歯した歯です。
矢印の部分に多量に歯垢プラークが残っています。
写真2は歯垢染め出し液で染め出してみました。
赤く染まっているところに歯垢があります。
写真3は1分ほど超音波洗浄器に歯をつけてみました。
メガネの洗浄器のようなものです。
大きな変化は見られないようです。
歯垢は歯ブラシ毛先で機械的に取り、音波や超音波はプラスαぐらいに考えるのがいいように思います。
要するに、振動回転式歯ブラシ、音波ブラシ、超音波歯ブラシともに、毛先を歯垢にあてるような使用が重要でしょう。
歯と歯の間、隣接面部は歯ブラシだけで歯垢を取り去るのは困難です。
歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシの併用が必須です。
(2020年9月20日)