No.36安易なフラップレス手術は行ってはならない
最近フラップレス手術を希望する患者さんが増えてきました。
フラップレス手術は歯肉を切開しないので、次のような利点があります。
・術後に腫れることが少ない
・術後の痛みが少ない
・出血が少ない
・治療期間が短い
・隣の歯の歯肉が退縮しない
インプラントは骨の中に完全に埋入することが必要です。
しかしフラップレス手術は、歯肉を切開しないため骨の状態を確認することができません。
したがって、安易にフラップレスでインプラント埋入を行なうと、インプラントが完全には骨のなかに入らない場合があります。
術後のトラブルになるのです。
フラップレス埋入は条件がよい限られた症例のみに行うべきです。
・十分な骨幅があること。
・十分な付着歯肉があること。
・術者に十分な経験があること。
・予想外の骨の状態の場合、通常の歯肉切開手術に切り替えることを想定すること。
岸本歯科では骨の状態が悪い場合、必ずCTを撮影しています。
しかし、いざ手術がはじまるとCTの読影結果と実際の骨の形態が一致しないことがあります。
CTを撮影していても、歯肉を切開してみないとわからないのです。
このような症例にフラップレス手術は行ってはいけません。
3Dプリンターで顎の模型を作製することが一般化すれば、ある程度は解決すると思いますが、現段階では一般化していません。
条件がよい場合のみフラップレス手術を行うべきです。
先入観や方法よりも、骨造成や骨移植を行わない腫れにくく痛みが少ない治療を選択してください。
(2017年6月12日)