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No.86神経は大切なもの、でも取らなければいけない場合もある
神経は大切なもの、でも取らなければいけない場合もある
歯の中心部には歯髄があります。
一般的に神経といわれている部位です。
歯髄を取ると、歯がもろくなったり、歯の根の先に感染部位、根尖病巣(根端病巣)ができたりすることが少なくありません。
結果、歯を失うことになります。
最近では、インターネットなどで簡単に情報が得られるようになったため、患者さんが神経をとることを嫌がるようになりました。
残念なことに、神経を無理に残すことの弊害も多くなってきたのです。
患者さんは強烈な痛みを訴えて来院しました(写真1)。
レントゲンを撮ると根のまわりの骨が吸収していることがわかります(青矢印)。
歯髄に近くまでレジン充填で治療したあともみられます(黄色矢印)。
残念ながら、歯髄を保存できず、歯髄除去し、根管治療を行いました(写真2)。
特別、最先端のマイクロスコープを使った根管治療ではありません。
通常の根管治療を普通に丁寧に行うだけです。
こういったケースでは、レジン充填を除去していきますが、歯の内部で虫歯の再発というのはあまりおこりません。
多くは虫歯でグジュグジュというのはないのです。
歯髄近くまでレジンがつめられています。
歯髄近くまでレジン充填した場合、予後がいい場合もあります。
しかし、歯科医師として、多くの患者さんをみてきて、うまくいく場合と、そうでない場合の違いが正直よめないのです。
特に近年、歯髄除去を望まない患者さんが増えてきていますが、治療後、経過が思わしくない場合、すみやかに歯髄除去に進むべきだと考えています。
躊躇していますと、写真3のようになり、なかなか治療だけではなおらず、抜歯の可能性が高くなります。
『日本の根管治療にもよさがある』の項でもお話ししましたが、健康保険での治療費は高くないので、治療してみて、どうしてもだめな場合抜歯を選択すればいいでしょう。
日本の金属治療を否定しレジン充填を推奨する医療の評論家、日本の保険での根管治療を受けるぐらいなら、タイでマイクロスコープの治療がいいとする評論家もいますが、このようなケースでは抜歯をすすめられるでしょう。
レジン充填後の歯の不調を訴えるかたは増えています。
(2021年4月4日)