【インプラント論文発表3】HAでコートされたショートインプラントを使用した骨移植を伴わないソケットリフト法の臨床的検討

2012年1月 第2回バイオインテグレーション学会

HAでコートされたショートインプラントを使用した骨移植を伴わないソケットリフト法の臨床的検討
         岸本歯科医院 岸本幸康
Ⅰ、実験方法
 上顎洞粘膜の挙上量をおさえることにより洞粘膜が破れるリスクを小さくし、破れた場合でも上顎洞炎発症の可能性が少なくなると考えられるため、骨移植を行わずにHAでコートされたショートインプラントを使用しソケットリフト法を適応した症例の検討を行った。2004年3月から2011年5月までの間、上顎臼歯部にアドバンス社製AQBインプラント1ピースタイプでHAコーティング部の長さ6mmを用いて骨移植を伴わずにソケットリフト法を用いてインプラント埋入を行った症例で、上部構造の装着が完了した16症例27本を評価対象とした。
Ⅱ。結果
 16症例27本すべてのインプラントでバイオインテグレーションが得られた。現在まで問題なく機能している。
Ⅲ。考察および結論 上顎臼歯部の委縮した歯槽堤にはサイナスリフト法を用いてインプラント埋入することが多い。しかしながら手術侵襲が大きく、使用した移植材料が漏れ出すと上顎洞炎が発生することがあり、問題も多い。一方ソケットリフト法は侵襲が小さい半面、盲目的手術であり、挙上した上顎洞粘膜が破れる可能性が大きくなる。近年、骨移植を伴わないソケットリフト法が応用されるようになり、上顎洞粘膜が破れても上顎洞炎の発生の可能性が小さくなってきたと思われる。一方、骨移植を行わない場合、上顎洞粘膜を大きく挙上しても骨形成は大きくはおこらないとする報告や、破れていても一定の範囲でインプラント周囲に骨形成が見られるとする報告もあるが、チタンインプラントでの報告である。本研究では、 上顎臼歯部の委縮した歯槽堤に対し、骨移植を伴わずにHAコーティング部6mmのショートインプラントを用いてソケットリフト法を適応した結果、良好な臨床成績が得られた。短期間での評価であり、長期にわたる観察が必要である。

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