No.53高濃度フッ素処方―フッ素は歯を強くする

フッ素が虫歯予防に有効であることは広く知られています。

歯垢の細菌の活動を抑え、酸が作られるのを抑制する、歯質を強化するなど、ムシ歯の発生・進行を防ぐ作用があります。
また、歯の表面に穴があいた状態(ムシ歯)の一歩手前である「初期ムシ歯」を健康な状態に戻す再石灰化作用を促進できることがわかっています。

日本では、薬事法で歯磨き粉のなかに入れられるフッ素が1000ppm以下とされていましたが、2017年に薬事法が改正され、1500ppm以下になりました。これに伴い、歯磨きメーカー各社が高濃度フッ素処方として、歯磨きの新商品を発売しています。
1450ppmのフッ素が含まれています。

一般的にドラッグストアで購入できる主な商品をあげてみました。

  • クリニカアドバンテージ  LION
  • サンスターバトラーエフペースト サンスター
  • クリアクリーンプレミアム  花王
  • 薬用シュミテクトデイリーケア アース製薬

 岸本歯科医院ではこれらの歯磨き粉は販売しておらず、患者さん自身でドラッグストアで購入してもらっています。

 また、最近問題となっているのは大人の根面カリエスです。
子供の虫歯は激減していますが、大人の虫歯は増えているのです。

これは歯を抜くことが少なくなり、一生入れ歯を入れないで自分の歯で過ごす人が増えてきている反面、残っている歯に根面カリエスが起こっているからだと考えられています。

根面カリエスとは、露出した根面、すなわち歯が長くなったように見える歯の根に起こる虫歯です。根面(象牙質)は歯冠部(エナメル質)よりう蝕(虫歯)になりやすいとされています。

写真1はCheck-Up Root careという歯磨きジェルでライオンから発売されています。

チェックアップ

写真1 check-up rootcare

根面カリエスをターゲットにした歯磨剤です。
一般のドラッグストアで購入しづらいので、岸本歯科医院ではこの商品だけは販売しています。PCA(ピロリドンカルボン酸)が露出した象牙質表面のコラーゲンをコーティングし、フッ素を長く留めるように工夫されています。
さらに、CPC(塩化セチルピリジウム)が菌の繁殖を抑制し歯肉炎に効果があるようにしてあります。

 写真2はCRESTというアメリカでよく売れている歯磨剤です。

crest歯磨き粉

写真2 crest歯磨き粉

この商品は1600ppmのフッ素が含まれています。
日本の薬事法では認められていません。
私はアメリカで購入して、好んで使用しています。
個人の責任のもと、海外で購入して使用したらいいと思います。
歯磨きのフッ素濃度は高ければいいというわけではないようで、現在日本で使用が認められている濃度よりもかなり高濃度で調べた研究があります。
高濃度にしても虫歯はそんなに抑制されないようです。

歯磨き後のうがいは軽く1回程度にしてください。
フッ素がなるべく歯についていてほしいからです。
また、フッ素はう蝕抑制効果はありますが、あくまで補助的です。
歯ブラシによる歯垢除去ができてこそフッ素の効果が発揮されます。
6歳以下の子供は1450ppmの歯磨き粉は使用しないでください。

(2018年6月5日)

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