インプラント医は失業する時代が来るだろう

2008年12月6日、7日東京で開催された日本顎顔面インプラント学会に出席しました。
そのなかで東京理科大学基礎工学部生物工学科教授、辻 孝先生の特別講演がありました。
わたしには大変驚きの講演内容でした。
先生は歯の再生治療研究として器官原基法を確立していて、マウス抜歯窩に正常な再生歯を発生させることに成功していました。
簡単に言うと、抜歯した場所に種をまくと歯がはえるということになります。
すでに2~3年前に先生の講演を聞いたことがあったのですが、その頃はとても正常な歯と思えるものではなく、ある有名な病理学者の言葉を借りると歯牙腫にしか見えないというものでした。
その研究が今では正常な歯の形をした、神経をもった歯ができていました。
人間にはおそらく倫理的問題もあり簡単には応用できないと思いますが、理論的には種をまけば歯が生えることになります。
ただ人間の場合、歯が生えるのに数年の期間を必要としますので、種をまいて噛めるようになるまで数年かかることになります。
その期間を規定している遺伝子を操作できれば、夢の治療法となるでしょう。
あるいは生体外で培養して歯の形が出来上がったあと顎の骨に植える手法も考えられると思いますが、現段階では難しいでしょう。
また歯の根の成長はどうやら噛む相手の歯との咬合圧にも規定されるようで、培養だけで歯根の形態が決められるか不明のようです。

現実問題として抜けた歯を補うのはインプラントということになります。
しばらくの間、私は失業しなくてすみそうです。
またデンタルインプラントは多くの研究者からほぼ完成された人工臓器として評価されていることも付け加えておきます。

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