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No.78新宿の岸本歯科医院はグラフトレスコンセプト
グラフトレスコンセプト
グラフトレスコンセプトgraftless conceptとは、骨移植・GBRなどの侵襲性の大きい治療を行わないインプラント治療をいいます。
英語にすると何となくかっこよく聞こえますが、要するに、骨移植をしない治療です。
一般的には、all on 4、ショートインプラント、あるいは傾斜埋入をさすことが多いようです。
私はさらに、ナローインプラント(細いインプラント)、HAコーティングインプラントの使用もグラフトレスコンセプトに加えていいのではないかと思います。
all on 4とは全部歯を失った場合に4本のインプラントで支えようという特殊な治療法です。
歯を抜くことが少なくなってきている現状を考えると、今後この治療が必要な総入れ歯の患者さんはかなり限られてくると思います。
それ以外のshort implant・傾斜埋入・narrow implant・HAコーティングインプラントの使用は今後も増えていくと考えています。
私が初めてインプラント関連の学会発表したのは2007年でした。
インプラント治療の学会発表の項を参考にしてください。
IAI研究会、現在の日本先進インプラント医療学会という小さい学会での発表です。
その時のタイトルは【大きな限局性骨欠損部に骨移植を行わずAQB1ピースインプラントで対応した3例について】でした。
ときは骨移植・GBR・PRP・PRGF・CGFなどの骨造成法が全盛期の時代です。
インプラント歯科医はこぞって骨移植・GBR(guided bone regeneration)・PRP(platelet rich plasma 多血小板血漿)・PRGF(plasma rich in growth factor)・CGF(concentrated growth factor)などの最先端技術の習得を目指しました。私が発表したポスターの前には見学者はまばらな状態で、ほとんど興味をしめされませんでした。
PRP・PRGF・CGF関連の発表に見学者は集まっていました。
さみしい思いをしたのを覚えています。
あれから13年が経過した現在、発表した3症例とも立派に機能しています。
骨移植・GBR・PRP・PRGF・CGFなどの最先端技術は使用していません。
HAコーティングインプラントを使用しただけです。
あの発表した2007年時に、骨移植を行わないという表現の学会発表はほとんどなかったように思います。
Graftlessという用語もあまり使用されていなかったかもしれません。
のちに、英文の論文を書くときに、graftless という用語が本当に医学論文で使用されているか調べてみたこともあるのです。それほど一般化した用語ではなかったということです。
現在では、骨移植した骨やGBRで作った骨は吸収するという意見、またPRP・PRGF・CGFなどの有効性に反対意見もあります。まさか、骨移植をなるべくおこなわないgraftlessの時代がくるとは思いませんでした。
(2019年11月13日)