No.89インプラント周囲軟組織封鎖性にも優れているAQBインプラント

インプラント周囲軟組織封鎖性にも優れているAQBインプラント

今まではどのようなインプラント表面が骨とよりよく結合するかが研究の焦点でした。

結論から言うとどのインプラントでも大して変わらないと思います。

何故かといいますと、動物実験や治験では、条件がいい部位にインプラント埋入するので、どのインプラントでもかなりいい結果が得られているはずです。

それでは、条件が悪い部位にインプラント埋入したデータは企業が発表するかといいますと、当然データの数値は下がってきますので、企業は発表したがらないでしょう。

条件が悪いといっても、悪条件を同一条件で再現できないので、データそのものが取りにくいかもしれません。

どれもこれも同じようにいいデータばかりになるので、これからは、インプラント周囲の歯肉軟組織がいかにインプラントを封鎖するかが研究の話題になってくるでしょう。

2021年の第51回日本口腔インプラント学会では 九州大学の古谷野 清 教授グループの熱田 生 先生が、表面研磨されたチタンインプラントにカルシウム水熱処理を行うと、天然歯に近いぐらいに周囲軟組織がインプラント周囲を封鎖すると発表されていました。

AQBインプラントでは発売時からカルシウム水熱処理が行われていて、周囲軟組織の封鎖性がよいことを公表していました。

30年も前のことです。特許までとっています(日本特許番号第5891150号)。

今更この研究なの?と思うこともありますが、学会や学術雑誌に掲載してこなかったのが原因なのかと思います。

ハイドロキシアパタイト系のインプラントは感染に弱いと欧米の研究から、常識のように言われていて、一方AQBインプラントの研究者たちはいかにその常識を覆すため、さまざまな理論武装を考えたようです。

その一環として、水熱処理がインプラント頸部チタンにも好影響を与えるはずだと考え、研究したようです。

見事にカルシウム水熱処理がインプラント周囲歯肉軟組織の封鎖性を向上させることをつきとめたのです。

インプラントと骨細胞との親和性のみが議論されていた30年前当時に、すでにインプラントと周囲軟組織との親和性を明らかにしていた研究陣の先見性には素晴らしいものがあると思います。

これからは、AQBインプラント以外にも、水熱処理がされたインプラント製品が市場に出てくるとおもわれます。

(2022年5月31日)

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